アトピー性皮膚炎の新しい治療
「デュピクセント注射
」「コレクチム軟膏」
デュピクセント注射
アトピー性皮膚炎治療薬として初めての注射製剤(生物学的製剤)です。アトピー性皮膚炎の炎症の主な原因である、IL-4と、IL-13をブロックし、強力に、皮ふの赤みやかゆみを抑えます。当院で、一年間使用した感じでは、大きな副作用も少ないようです。
薬剤代の問題
当初より、薬剤代が高いことが問題でしたが、2020年4月1日より、20%下がりました。また、自己注射を行うことで、高額医療費制度を利用すればさらに減額となります。
●料金の目安
3割負担の方の負担金 | 月あたりの負担される費用 |
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初月のみ(月に3本注射) | 59,720円 |
それ以降(月に2本注射) | 39,814円 |
料金の目安ですが、表のように保険がきいて、初月が約6万円、以降が月4万円程かかりますが、年収にもよりますが高額医療費制度を利用すれば、半年後からは2万円程になります。
重症のアトピー性皮膚炎では、診察でいろいろ処方を考えて、患者さんももらったおくすりを指示通りに丁寧に塗っていても、症状を抑え込むことができませんでした。
これらの患者さんを、月に2回の注射で大幅に症状を改善(最初につけるスコアの75%以上改善した患者さんがが7割)させる新薬がデュピクセント注射です。
15歳以上でないと使えない、薬剤代が高い、使用法が複雑、説明が大変など、私たち医師、看護師側や、患者さん側にも、メリットとデメリットがありますが、これからもスタッフ一同、勉強し、よりよい治療を皮膚疾患で悩んでいる患者さんへ提供できるよう努めて生きたいと思います。
篠原皮ふ科クリニック
院長 篠原三秀、スタッフ一同
患者様の声
デュピクセント注射について、よくある質問をまとめました。
- Q. どこの病院でも注射は打てますか?子供でもうてますか?
- 医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に、5年以上の皮膚科診療の臨床研修を行っている医師の元でしか打てません。患者さん側にもいろいろな用件あり、15歳以上の重度のアトピー性皮膚炎の患者さんが適応となります。
- Q. 治療は、受診した当日に打てますか?
- 当日は、問診、診察、アトピー性皮膚炎のスコア化、皮疹の面積を確認し、注射の適応があるかを判断します。そこで予約を取り、後日注射を行います。
- Q. 注射を打てば、内服薬や外用薬は使用しないで大丈夫ですか?
- 注射のみに頼らず、内服薬、外用もしっかり続けるようにと明記されています。注射で治療しても、併用していくことが大事です。
- Q. 注射は、何回目から効果が出始めますか?
- 1回の注射後2週間で効果が認められます。3ヶ月経過したときには、ほとんどの症例で皮疹、そう痒ともに明らかな改善が認められます。16週間で、4カ月間で効果判定を行うことになっています。
- Q. 注射は、いつまで行いますか?
- 使用されて日が浅いので、明確な指標はありません。基本的に、炎症とそう痒がおさまり、改善が実感できるまでは継続します。もちろん、デュピクセントを中止後も外用剤は継続する必要があります。もし、外用のみで皮疹がコントロールできなくなったときには、デュピクセントを再開することもできます。日本で一番デュピクセントを使用している皮膚科医によると、約1年間を目安に注射を行うとのことです。
- Q. クレジットカードの使用はできますか。
- 現在のところ、保険治療では、クレジットカード、電子マネーによる支払いは対応していません。
コレクチム軟膏
2020年6月から、使用可能になった、ステロイド外用剤ではないヤヌスキナーゼ阻害剤という、新しいタイプのアトピー性皮膚炎の炎症を抑える外用剤です。ステロイド外用剤ではないので、続けて使用しても皮ふが薄くなることはありません。
当院では、16歳以上のアトピー性皮膚炎のお顔の皮疹に主に使用しています。以前からあった、プロトピック軟膏よりも刺激が少なく使いやすいような印象です。小児用も、適応申請中のようです。