男性にとっても、女性にとっても薄毛は悩ましい問題です。

男性の薄毛は、男性型脱毛症、AGAといわれかなり認知されてきました。20歳代後半から30歳代にかけて始まる進行性の脱毛症で、ある調査によれば、日本国内で自分の頭髪の薄毛・抜け毛を認識している成人男性は約3割、薄毛を気にしているのは推定で800万人とされています。

AGAの原因は、男性ホルモンの一種と酵素が反応して体内で生成されるDHT(ジヒドロテストステロン)です。治療としては、フィナステリド、デユタステリドなどの、DHTを抑える飲み薬や、5%のミノキシジル外用薬が使用されます。治療薬を使用した国内の調査では1年後に58%の人に発毛効果があり、3年後には78%が改善したという結果が出ています。また、98%の人に抜け毛の進行抑制効果が認められています。

女性の薄毛は、まだ認知が進んでおらず悩まれている方も多いようです。原因としては、体質的な要因があり、女性ホルモンの不足、頭皮の血行障害、睡眠不足、ストレスが関与し、男性と比較してゆっくりと何年もかかって進行し、目立つようになります。早い人では20代から発症することもあり、70歳以上の女性では38%が発症するといわれています。現在、女性の薄毛の治療薬として唯一国内で認められているのは、1%ミノキシジル外用薬です。女性の薄毛は、発病のメカニズムが複雑なことと治療薬が少ないために治療が困難なことが現状です。しかし皮膚科医として、病的な脱毛症でないか、ヘアケアの方法、育毛剤や発毛剤などの選択、発毛を促す適切なアドバイスをすることは非常に大事なことだと考えています。

市報大村7月号より